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社員共育
2024年6月7日
モテるお酢屋。
昨年に引き続き、社員研修で飯尾醸造様のお話を伺いました。
前回とは別のメンバーが研修に参加しております。
飯尾醸造様は京都府宮津市にて明治26年創業、130年お酢を造り続けている富士酢の老舗醸造元。
漫画『美味しんぼ』にも掲載されたほか、最近ではテレビ東京系『カンブリア宮殿』でも紹介されるなど、高品質なお酢の老舗醸造元として知られています。
現当主・飯尾彰浩様は5代目となります。
今回も飯尾彰浩様から、飯尾醸造様の経営理念である「モテるお酢屋。」をどう実現しているのかお聞きしました。
小さくても強い会社でありたい
お酢というレッドオーシャン(競争の激しい市場や分野)にいる飯尾醸造様。
普通なら大手企業にどう対抗するか、と思案するところですが、
飯尾醸造様は「競わない競争戦略」を肝に銘じているそうです。
広告宣伝費ゼロ、営業マンゼロ。
新規顧客より、まずは既存顧客を大切にされています。
小さくても強く、他社の追随を許さない程の突き抜けた商品をお客様にご提供することで、
結果としてメディアから取り上げていただき、新規顧客も増えていったとのこと。
このように、とことん競わないためには、「ブランド」が必要になります。
「ブランド」とは、「お客様にとって意味のある差」
飯尾醸造様は、
商品×体験×ビジョン=高品質多付加価値の商品
三つの掛け算でオンリーワンのカテゴリーを生み出しています。
【商品】
無農薬のお米づくり➡そのお米を使った“酢もともろみ(酒)”を仕込み➡その酢もともろみ(酒)からお酢を造る
この創業からほとんど変わらない伝統製法は、大手企業の一般的なお酢と比べて原材料費は50倍、時間も50倍かかります。
そのため規模は大きくなく、生産量の国内シェアは0.06%とのこと。
それでも売り上げは20年前より4割増えているそうで、お客様を顧客からファンに変えることの重要さを感じます。
【体験】
田植え体験会を定期的に開催。
棚田を所有する農家にとっては負担となる「作業」も、多くのお客様にとっては、お金を払ってでも参加したい「非日常の体験」です。
「非日常を体験」し、お客様が楽しみながら飯尾醸造様と一体感を味わうことで、商品に対する更なる付加価値の提供に繋がるほか、
単なる商品の顧客から、飯尾醸造様という会社そのものへのファンに変わります。
※飯尾醸造様の田植え体験・棚田については、別記事でご紹介させていただきます。
【ビジョン】
オンリーワンのカテゴリーを生み出した瞬間は、競争相手はゼロ。
大手企業の真逆を行き、戦わない戦略。
結果として大手企業に真似される商品を開発すること狙っているそうです。
現在は、社会的意義を新商品開発の条件にしているとのこと。
例えば飯尾醸造様の「ピクル酢」は、冷蔵庫に残った余り野菜をピクル酢に漬けるだけで美味しいピクルスができる商品です。
廃棄食材が減るという社会的価値は、多くのメディアに取り上げられました。
その後、大手企業が参入することでマーケットが広がり、「ピクル酢」の売り上げも拡大していきました。
目の前のお客様の喜びを
「モテるお酢屋。」の経営理念に基づき行動している飯尾社長。
幼少期、蔵見学に来た方が少しでも喜んでくれるようにご家族が一生懸命おもてなししていた姿を見て、「目の前の相手を喜ばせるために何をすればいいのか」を考えたことがブランディングのきっかけとのこと。
目の前のお客様がどうしたら喜ぶのか、
レッドオーシャンの中に点在するブルーオーシャン(競争相手のいない未開拓の市場)を見つけ、競わない戦略を進めること
ブルーオーシャンの中でも、突き抜けたオンリーワンの商品をお客様にご提供すること
飯尾醸造様と地域科学研究所は全く分野の違う仕事ですが、大変勉強になりました。
学ぶことが多々あり、これから突き抜けたブランディングのために必要なことが見えてきました。